歯車の色は

あの日外れた歯車はいま、どこに転がっているのだろう。拾われる時をどこかで独り寂しく待っているのだろうか。別のなにかに拾われてどこか知らないところでまた歯車として動いているのだろうか。あるいは、外れた時のひびで、もうとっくに壊れてしまっているのだろうか。
分からない。どうしたらいいのか分からない。なくした歯車を探せばいいのか。代わりの歯車を入れればいいのか。それとも、なくても動けるならこのままにすればいいのか。相変わらず目に痛いほど極彩色の世界に、僕だけがモノクロームで立っている。
分からない。自分の色が分からない。自分がどんな色で立っていたか分からない。自分がかつて持っていたはずの色が何だったか分からない。色をもって立っていたということだけは覚えている。でも、思い出せるのはそれらが全部混ざったような黒だけだ。

……あれ、何を考えてたんだっけ。まあいいや。